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研修報告updated; 2008.11.07

しらかわ

研修報告

白川 剛Tsuyoshi SHIRAKAWA, M.D.

平成16年九州大学卒


研修歴


2004年3月:九州大学医学部卒業
2004年5月:国立病院機構九州医療センター研修医(呼吸器内科・泌尿器科・消化器内科・麻酔科)
2005年5月:九州大学病院研修医(小児外科・精神科・地域医療・第1内科)。
2006年4月:九州がんセンター化学療法科レジデント
2006年10月:九州大学病院血液・腫瘍内科医員
2007年4月:九州大学大学院医学系学府博士課程(病態修復内科学)進学

全体の感想

@ 学生時代
 内科にある程度興味はありましたが、医学部6年次の研究室配属、臨床配属(クリニカル・クラークシップ)で小児外科へ配属され、元々外科手術・悪性腫瘍に興味があった事で、小児悪性腫瘍を将来は専門にしようと考えておりました。

A 1年目研修(九州医療センター)
 「医師としてのトレーニング」を積むという観点からすると、将来専門医としてあまり扱わない分野や、極端に言えば全く関係しない分野の症例が経験できる科をローテートするのが僕はいいと思います。当たり前の事ですが、がん患者は専門分野以外の様々な疾患を合併している事が多く、全身に予期せぬ事態が生じます。その際には他分野での経験が絶対にものを言います。勿論どの科の研修でも懸命に励めば得るものは多いのですが、腫瘍に関して述べれば大方の中核病院以上であれば内科外科を問わず代表的な悪性腫瘍疾患を経験する事が可能だと思います。
 僕は研修医として最初にローテートした科が呼吸器内科で、肺癌化学療法症例をたくさん受け持つ中で、悪性腫瘍の内科的治療に興味をもつようになりました。泌尿器科では膀胱癌や前立腺癌・尿路系癌・精巣腫瘍等の化学療法を、消化器内科では胃癌・大腸癌・肝胆膵癌の化学療法を経験しました。実際医師として働き出すと内科の面白さを実感し、次第に「腫瘍分野の内科医」になりたいというイメージが膨らみました。
 よく人気のある市中病院の方がいいという意見を聞きますが、正直な話実際振り返ってみると内科・外科の基本を学ぶ1年目は、大学病院でも市中病院でもどこの病院でも関係ないと思います。野球に例えますと、優れた投手はどこのチームにいても勝ち星を上げるものです。初期研修もそうで、1つ1つの症例をしっかり身につけようと努力すれば、どんな環境であれ結果はついてくると思います。研修病院へのブランド志向は必要ないでしょう。

B 2年目研修(九州大学病院)
 「内科医としてのトレーニング」を行うのは、研修医2年目の選択科の時期が適していると思います。1年目の時の指導医の先生方に大変恵まれた事もあり、心中では腫瘍内科への興味がどんどん大きくなっていました。小児悪性腫瘍には大変興味があったのですが、諸検査を施行して分析し、治療に結びつけるという内科の方が自分の性分に合っていました。医師としての専門分野を決める際は非常に悩みましたが、自分のしたい事とマッチしたのが腫瘍内科であったので、その直感に従い当科に本入局させていただきました。それが2年目の冬でした。
 第一内科では、血液腫瘍・固形腫瘍・循環器・肝臓・膠原病・感染症・糖尿病の症例を4ヶ月半の間に幅広く経験させていただきました。当科は上記に示したようなグループがあり、一般内科の症例が豊富にあります。一般内科医としてのトレーニングを行う場合、当科は十分適していると思います。

C 腫瘍内科医としてのトレーニング
 2年間の研修生活で一般内科を広く経験できましたので、3年目は専門分野の経験を積む事に全力を注げました。
 3年目前期は九州がんセンターの化学療法科(現消化管・腫瘍内科)のレジデントとして、消化器癌・乳癌・原発不明癌を主に経験しました。それ以外の分野も経験できます。外科の先生方とのコミュニケーションも抜群で、癌患者に対する基本的な医療の考え方と実践(化学療法・緩和医療・サイコオンコロジー・チーム医療)の基本を学ぶには、非常に適している環境であると言えます。外来化学療法にも全面的に関わります。また、院外での研究会へも積極的に参加できる環境です。症例数は本当に豊富です。是非この病院での研修をされるといいのではないかと私は思っております。
 3年目の後期は当科にて後期研修を行いました。大学はがんセンターとは異なる部分も多く、頻度の高い悪性腫瘍から稀有な悪性腫瘍まで、様々な症例を経験しました。リエゾン精神医学を学べる事も特徴です。大学病院は各診療科の専門家が揃いに揃っている環境です。大学病院は研修に適していないと考える方が多いようです。確かに医学生の時によく自分の大学内を見ているので、医学部5・6年の時は外での研修に憧れる方が多いかもしれません。しかしスペシャリストがたくさんいる環境の中で、専門分野以外の疾患に苦労しながらコンサルトし、様々な科の先生方から相当な知識・技術を学べます。大学での研修の実際は、学生の頃に見たものと医師になってから学ぶものとでは雲泥の差です。
 1年目研修医の時にある科の先生が言われていたのですが、医者は3年目が一番伸びるという事を実感しました。3年次ともなるとある程度の経験を積んでいるので診療に大きな責任を持つ事になりますし、今振り返って考えてみますと、一番成長した時期であったと思います。腫瘍内科としてのトレーニングを積むのはこの1年が相当重要です。可能ならば大学病院とそれ以外の病院で経験を積むのがいいのではないでしょうか。

具体的な経験症例(代表的なもの)

九州医療センター:
肺癌,食道癌,胃癌,大腸癌,肝細胞癌,胆嚢癌,膵臓癌,腎細胞癌,腎盂癌,膀胱癌,精巣腫瘍

九州大学病院(2年次):
造血器悪性腫瘍(Auto-PBSCT,Allo-PBSCT,Allo-BMT,Cord,Re-transplantation症例を全て),固形腫瘍(消化器癌等),一般内科症例

九州がんセンター:
消化器癌(胃癌,大腸癌),乳癌,原発不明癌,卵巣癌,甲状腺癌,悪性黒色腫等

九州大学病院(3年次):
消化器癌(食道癌,胃癌,大腸癌,肛門管癌),原発不明癌,腹膜癌,胸腺腫瘍,乳癌,肝小細胞癌,副腎癌,胆嚢癌,骨肉腫,血管肉腫,卵巣癌,悪性中皮腫,腹膜偽粘液腫等

こうやってまとめてみますと、本当に幅広く経験させていただいたものです。どこの病院でも同様だと思いますが、大学での当グループの診療体制は、医員が筆頭主治医で指導医としてスタッフ(教員)についていただきます。がんセンターではレジデントが担当医で指導医が主治医でしたが、大部分はレジデントが診療にあたります。主治医はスタッフ(科長も含む)についていただきます。3年目ともなると自らイニシアチブをとって診療にあたる事が必要だと思います。僕は指導医の先生の御指導の下で、本当に主導権をもって自由に診療させていただきました。

研修歴から考えた得意分野や不得意分野

これまで述べたように、当科では扱わない分野の悪性腫瘍を、具体的には肺癌・泌尿器癌・膵臓癌・乳癌・小児固形悪性腫瘍を経験した事で、大部分の癌腫症例はおろか肉腫症例まで扱った事は大きな自信になっています。特にがんセンターで経験できた乳癌は自信につながっています。また当科にて一般内科症例を広く診たので、腫瘍内科分野に頭でっかちにならずに一般内科的思考で個々の症例を診るのが得意だと思います。

しかし、重要な内科分野の中に不得意分野があるのも事実です。脳血管神経系内科や腎臓内科,代謝内分泌内科はローテートしていない以上、専門的な考え方を学んでいません。この事から考えると、1年目の内科必修ローテート時には、当科で扱う事がない分野の診療科に行くのがいいのではないでしょうか。

研修環境

当科に関して言えば、各分野のスペシャリストがいて、いつでも気軽にコンサルトができます。質問には積極的に答えてくれて、非常に熱心に指導して下さるスタッフばかりです(ホメ殺している訳では全くないですよ!)。まさに「求めよ、さらば与えられん」です。僕が思うのは、当科は診療グループ(研究室)間の連携が非常に良く、皆の仲がとてもいい事です。飲み会も多いですよ!ローテートして来る研修医もモチベーションの高い方ばかりで、お互い刺激し合って前進できる事は保証できます!また、看護師教育にも積極的に取り組み、今では病棟看護師へ臨床腫瘍学の講義を毎週行い、共に勉強しております。悪性腫瘍はチーム医療が基本である以上、全体で高めあっていく必要があります。

僕が研修を行った九州がんセンターは診療科間の垣根が非常に低く、他科(特に外科)との連携を行いながら診療に取り組める環境、薬剤師やソーシャルワーカー等を含めて診療できた事が非常に良かったと思います。

まとめ

九州大学病院血液・腫瘍内科は腫瘍内科専門領域での後期研修ができるだけではなく、一般内科医としての研修も積む事が可能です。希望があれば、他施設での研修もできます。1人1人の希望に沿った自由度のある後期研修ができ、大学院へ進学し研究をする事もできます。グループの諸先輩方は大変熱意に満ち溢れた方ばかりで、とても勉強になります。腫瘍内科は今後更なる発展が望まれる、大変やり甲斐のある分野です。これまで行った臨床、今から行う研究を存分に生かし、将来は専門医として日本の先頭に立って仕事をするのが夢です。勿論、自分を育てていただいた御礼の意味も込めて、教育も積極的に行いたいです。一般内科に興味がある方、特に腫瘍内科に興味がある方は、一度当科を、そして分子腫瘍研究室を是非覗いてみませんか?何か聞きたい事や見学の希望等があればいつでも結構ですので、医局や研究室まで御連絡をお願いします!

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