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分子腫瘍研究室 基礎研究updated; 2011.02.01 

当研究室では、がんの治癒を目指した治療開発を目的に、がんの発生や転移の機序の解明をテーマとして、がん幹細胞の同定、癌細胞由来Exosomeの機能解析、癌細胞の薬剤感受性、分子標的療法の作用メカニズムなどについて基礎研究を行っています。

ピペットマン細胞培養エクソソームの電子顕微鏡像

がん幹細胞研究

腫瘍縮小効果に優れた化学療法を実施して奏効が得られた後も、腫瘍の再発により増悪することはしばしば経験されます。これは化学療法によっても「がん幹細胞」は根絶できないためと考えられています。幹細胞とは、各臓器において組織を形成している様々な細胞群を供給している源であり、多系統の細胞に分化する多分化能と幹細胞自身を再び複製する自己複製能を有する細胞です。がん組織においても、その細胞集団中に少数のがん幹細胞が存在し、がん幹細胞が自己複製を行いながら腫瘍を形成すると考えられています(図1)。がん幹細胞の特徴のひとつとして、抗がん剤に耐性であることが挙げられます。その原因として、細胞内の抗がん剤を効率的に排出できること、および細胞周期の休止期(G0)にとどまっているため細胞分裂を阻害する薬剤が効きにくいことなどが報告されています。従ってがん幹細胞を根絶するためには、その生物学的特性に沿った治療戦略を確立する必要があります。

CSC
図1:がん幹細胞(クリックして拡大可能)

現在までにがん幹細胞が同定されている腫瘍としては、急性骨髄性白血病をはじめとして、乳癌、脳腫瘍などがあります。これらは、がん幹細胞表面の特定のマーカー抗原を指標として選別回収し、免疫不全マウスを用いた連続移植により造腫瘍能(図1)、自己複製能が確認されたものです。がん幹細胞はその存在する頻度が0.2〜1%程度と低いことから、生きたがん幹細胞を回収して生物学的解析を行うことは簡単ではなく、未だがん幹細胞の生物学的特性の詳細は明らかにはなっていません。

本研究では、消化器悪性腫瘍を対象として、その腫瘍組織中に存在するがん幹細胞を同定し、その生物学的特性を解析することを目的としています。また、免疫不全マウス移植系in vivo selection systemを用いて、がん転移の機序解明を目的とした研究も行っています。様々な消化器悪性腫瘍における、がん幹細胞の特異的マーカーを同定し、これらを用いてより詳細ながん幹細胞の解析が可能となれば、新たな治療戦略の確立のための基盤になることが期待されます。

学会発表
2010年ESMO(European Society for Medical Oncology) Congress (掲示)
2009年ESMO(European Society for Medical Oncology) Congress (掲示)
2007年日本癌学会総会(掲示)

当研究室では『消化器癌幹細胞の同定とその生物学的解析を行う探索的研究』において2次利用について同意を得た方の手術検体を対象に「消化器癌における細胞内鉄代謝機構についての探索的研究」を行っています。研究内容については以下のPDFファイルをご参照下さい。

「消化器癌における細胞内鉄代謝機構についての探索的研究」(PDF 123kB)

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癌細胞由来エクソソームの検出と機能解析

当研究室では以前から、“エクソソーム(Exosome)”という細胞から放出される小胞について研究を進めてきました(参考文献)。エクソソームは血漿や腔水などの体液中に含まれていますが、生体内での機能についてはわかっていないことが多いです。エクソソームは細胞膜と同様の脂質二重層で構成され、その表面には元の細胞に由来する膜蛋白を載せており、この表面蛋白がエクソソームの機能に関わると考えられています。近年、エクソソームの中にRNAが含まれているという報告もあり、エクソソーム中のRNAが別の細胞に取り込まれて機能している可能性も提唱されています。

exosome
図2:細胞からのエクソソーム放出と、エクソソームの構造

当研究室では、癌患者さんの血液からエクソソームを回収して解析を進め、生体内での機能を調べています。血液中の癌細胞由来エクソソームは元の癌の特徴を反映している可能性もあり、早期診断のマーカーとしての開発も視野に入れ研究を進めています。

論文発表(参考文献)
Arita S, Baba E, Shibata Y, Niiro H, Shimoda S, Isobe T, Kusaba H, Nakano S, Harada M. B cell activation regulates exosomal HLA production Eur J Immunol. 2008 May;38(5):1423-34.

学会発表
2010年ESMO(European Society for Medical Oncology) Congress (掲示)
2010年日本癌学会総会(口演)
2010年日本臨床腫瘍学会総会(口演)
2009年日本癌学会総会(口演)
2009年AACR(American Association for Cancer Research) Annual Meeting (掲示)
2008年日本免疫学会総会(口演)
2008年日本癌学会総会(掲示)
2007年日本免疫学会総会(掲示)
2007年日本癌学会総会(掲示)
2006-2007 Keystone Symposia, The Potent New Anti-tumor Immunotherapy(掲示)
2006年日本免疫学会総会(掲示)
2005年日本免疫学会総会(掲示)
2004年日本免疫学会総会(掲示)

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抗がん化学療法における耐性メカニズム、投与スケジュールと殺細胞効果

論文発表
Enhanced expression of PCAF endows apoptosis resistance in cisplatin-resistant cells. Mol Cancer Res. 2010 Jun;8(6):864-72. PMID: 20530585
Schedule-dependent synergistic interaction between gemcitabine and oxaliplatin in human gallbladder adenocarcinoma cell lines. Anticancer Drugs. 2009 Feb;20(2):123-30. PMID: 19209029
In-vitro schedule-dependent interaction between oxaliplatin and 5-fluorouracil in human gastric cancer cell lines. Anticancer Drugs. 2006 Apr;17(4):445-53. PMID: 16550003
In-vitro differential metabolism and activity of 5-fluorouracil between short-term, high-dose and long-term, low-dose treatments in human squamous carcinoma cells. Anticancer Drugs. 2006 Apr;17(4):439-43. PMID: 16550002
Synergistic interaction between oxaliplatin and SN-38 in human gastric cancer cell lines in vitro. Oncol Rep. 2005 Sep;14(3):683-8. PMID: 16077975
In vitro sequence-dependent interaction between nedaplatin and paclitaxel in human cancer cell lines. Cancer Chemother Pharmacol. 2005 Sep;56(3):279-85. Epub 2005 May 4. PMID: 15875187
In vitro schedule-dependent interaction between paclitaxel and oxaliplatin in human cancer cell lines. Cancer Chemother Pharmacol. 2005 Jun;55(6):595-601. Epub 2005 Feb 25. PMID: 15731917

学会発表
2009年日本癌学会総会(掲示)
2007年日本癌学会総会(掲示)

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分子標的抗がん剤の作用メカニズムの解析

論文発表
Activated Src and Ras induce gefitinib resistance by activation of signaling pathways downstream of epidermal growth factor receptor in human gallbladder adenocarcinoma cells. Cancer Chemother Pharmacol. 2006 Nov;58(5):577-84. Epub 2006 Mar 11. PMID: 16532343
Gefitinib, a selective EGFR tyrosine kinase inhibitor, induces apoptosis through activation of Bax in human gallbladder adenocarcinoma cells. J Cell Biochem. 2006 Mar 1;97(4):724-34. PMID: 16229013

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固形腫瘍に対する同種造血幹細胞移植におけるマイナー抗原反応性の検討

学会発表
2004年日本癌学会総会(口演)

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